日本の漢方薬の流通について
日本に流通している漢方薬は大きく分けて3つあります。
①ドラッグストアで販売している漢方薬
②漢方相談薬局専売の漢方薬
③医療用医薬品のみの漢方薬
①と②は一般用医薬品という分類になっていて処方箋なしで購入できる漢方薬になります。
①は、メーカーとしては、ツムラ・クラシエ・小林製薬が多いです。
たまに、小太郎やJPSなどの漢方薬メーカーの製品もありますが数は少ないです。
日本で認められている方剤数は、294処方ありますが、
ドラッグストアでセルフで購入できる漢方薬は50処方程度ではないかなと。
②はイスクラ、クラシエ、小太郎、JPSなどの漢方薬のメーカーの商品がおいてあります。
セルフで購入するというよりも、漢方薬や中医学を勉強した薬剤師や登録販売者に相談して、
選んでもらうかたちになります。
日本で流通している漢方薬で一番種類が多いのはこのカテゴリーになります。
③はツムラがメイン、ついでクラシエ・小太郎の漢方薬があります。
医者の診察を受けて、処方箋を出してもらうことで手にすることができます。
つまり、保険適用の漢方薬(149処方)になるので、窓口3割負担。
お安く手にすることができますが、国が定めた価格(薬価)に合わせて漢方薬を製造していることを考えると、
どんな生薬を使っているのかなとか、生薬を栽培している方が虐げられているのかなとか、
ちょっと想像してしまいます。(漢方薬に限らず、西洋薬もそうですが・・・)
もうひとつ。
同じ方剤でも、認証をとっている効果効能に違いや、配合されている生薬のバランスの違い、配合されている生薬の違いなどがあります。
なので、病院によっては、ひとつのメーカーだけでなく、いくつかのメーカーの方剤を採用していることもあります。使い分けは、保険適用の範疇であることが多いと思いますが、生薬量の違い、配合生薬の細かい違いもあります。
生薬量の違い・配合バランスの違い・使用生薬の違い
色々なメーカーが漢方薬を販売しているからにはそれなりの理由があります。
ドラッグストアで販売する登録販売者さんは、同じ方剤名でも製品によって、エキス量の割合が異なったり、使っている生薬が異なっていたりしますので、そのあたりを明確に説明して、お客様にとって良い塩梅(体調・体質・コスパを含めて)「製品」を一緒に選んでいく必要があります。
例えば、小林製薬のナイシトールで有名な防風通聖散は、エキス量が50%〜100%と幅が広いです。
詳しくは、こちらのNOTEをご覧ください。
また、使用生薬の違いにおいては、白朮と蒼朮が代表的です。
白朮と蒼朮は、日本においては「朮」と一括りにされていて、どちらの生薬を使ってもよいということになっていますが、その働きや作用は異なります。
お天気頭痛で有名になった方剤「五苓散」は、ツムラは蒼朮、クラシエの漢方セラピーの4日分は白朮、20日分の大容量は蒼朮を使っています。
どちらの五苓散を使うかは、「舌」を見ることで判断ができます。
違いといえば、剤形もその範囲になります。
顆粒タイプもあれば、錠剤タイプもあります。
錠剤は味を感じにくいので、漢方の味が苦手な人は錠剤が向くだろうし、
小児、特に、中学生あたりは、調節ができる顆粒のほうがよいかもしれません。
ドラッグストアで漢方薬を販売していこう!となると、
処方数は少ない中でベスト方剤✕ベスト製品を提案が求めらます。
そして、ドラスト漢方薬の範疇を超えたらならば、漢方相談薬局の提案や受診勧奨も必要になってくると思います。